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国際人権法 - 個人通報制度とは

個人通報制度とは

個人通報制度とは、人権条約に認められた権利を侵害された個人が、各人権条約の条約機関に直接訴え、国際的な場で自分自身が受けた人権侵害の救済を求めることができる制度です。

人権侵害を受けた個人は、その国において利用できる国内的な救済措置を尽くした後であれば誰でも通報する事ができます。その通報が受理され、審議された後に条約機関はその通報に対する見解(views)を出します。

見解には拘束力はありませんが、国際・国内の世論を高めることで国内法の改正を図り、人権侵害の救済・是正を目指します。

*ほかの人権条約が持っている個人通報制度の一覧はこちら
 

個人通報制度の通報の方法・その手続き

人権侵害を受けた個人かその代理人からの通報から手続きは開始します。法律や人権問題の専門家で構成される条約機関(委員会)が、公正中立の立場で、通報者と通報された国家の双方からに意見を聞き、審理を進めていきます。

*この手続きには、大きく分けて5つのステップがあります。
 

国際人権条約のなかでの個人通報制度

主な国際人権条約には、その条約を各国にしっかりと守らせるため、以下の3点が定められています。その3点のうちの1つこそが個人通報制度です。

  1. 報告制度
  2. 国家間通報制度
  3. 個人通報制度

これら3つの制度を持つ代表的な条約として、自由権規約が挙げられます。

【自由権規約での3つの制度】

実施措置の種類

措置の内容

規約条項

報告制度

条約を批准した国が国際機関(自由権規約委員会)に自国の人権状況を報告する制度

自由権規約第40条

国家間通報制度

ある国が他国の人権侵害を自由権規約委員会に訴える制度

自由権規約第41条

個人通報制度

人権侵害を受けた被害者が国を相手に自由権規約委員会に訴える制度

 

※自由権規約の個人通報制度については、「選択議定書」(※1)に定められています。

(※1)選択議定書とは?
個人通報制度を定めている選択議定書とは広い意味での条約です。条約で定められている権利や保護を強化・追加し、条約の中で定められた特定の分野について一層の詳細な規定を定めるものです。


日本の現在の状況

選択議定書で個人通報制度を定めている条約としては「自由権規約」「社会権規約」「女性差別撤廃条約」などがありますが、日本政府はすべてにおいて批准していません。また、「人種差別撤廃条約」「拷問等禁止条約」は条約本文にある規定の受諾宣言を行なっていません。そのため、日本には、個人通報制度は現在まで適用されていません。この他、「移住労働者権利条約」「障害者権利条約」は、条約そのものを批准していません。
 

アムネスティとして個人通報制度実施に向けて取り組むことがなぜ必要か

個人通報制度に日本が加入すると、個人の人権侵害の救済につながるだけでなく、条約機関から人権侵害の原因となる法制度の改善を日本が国として求められることになります。

つまり、日本の国内制度が国際人権基準に沿って改善される道を開くことにつながるのです。そこで、アムネスティは、この制度の実現にむけ、取り組んでいます。
 

【国連の人権条約が持っている個人通報制度一覧】

条約名*

採択年
発効年

条約機関

個人通報制度

自由権規約

1966年
1976年

自由権規約委員会

この条約に付属している「第一選択議定書」で、個人通報制度について定めている。この議定書に入ることで、通報できるようになる。

社会権規約

1966年
1976年

社会権規約委員会

この条約に付属している「選択議定書」で、個人通報制度について定めている。この議定書に入ることで、個人通報ができるようになる。

人種差別撤廃条約

1965年
1969年

人種差別撤廃委員会

この条約の第14条で、個人通報制度について定めている。この14条を受け入れる特別な宣言を政府が行う(受諾宣言)ことで、個人通報ができるようになる。

女性差別撤廃条約

1979年
1981年

女性差別撤廃委員会

この条約に付属している「選択議定書」で、個人通報制度について定めている。この議定書に入ることで、個人通報ができるようになる。

拷問等禁止条約

1984年
1987年

拷問禁止委員会

この条約の第22条で、個人通報制度について定めている。この22条を受け入れる特別な宣言を政府が行う(受諾宣言)ことで、個人通報ができるようになる。

移住労働者権利条約

1990年
2003年

移住労働者権利委員会

この条約の第77条で、個人通報制度について定めている。この77条を受け入れる特別な宣言を政府が行う(受諾宣言)ことで、個人通報ができるようになる。

障害者権利条約

2006年
2008年

障害者権利委員会

この条約に付属している「選択議定書」で、個人通報制度について定めている。この議定書に入ることで、個人通報ができるようになる。

強制失踪条約

2006年
未発効

強制失踪委員会

この条約の第31条で、個人通報制度について定めている。この31条を受け入れる特別な宣言を政府が行う(受諾宣言)ことで、個人通報ができるようになる。

子どもの権利条約

1989年
1990年

子どもの権利委員会

この条約の報告制度を補完するための「通報制度を規定する選択議定書」で、個人通報制度について定めている。この議定書に入ることで、個人通報ができるようになる。

*下線が引かれた条約については、個人通報制度に関する部分を除いて、日本も参加しています。

【個人通報制度の流れ】

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1)通報: 人権侵害を受けた個人かその代理人が、国連にある条約機関に通報することから手続きが始まります。国連人権高等弁務官事務所(スイス・ジュネーブ)が通報を受け取り、各条約機関に所属する人権の専門家が審査にあたります。
2)許容性審査: 正式に受理されるためには複数の条件があります。すでにその国の裁判手続きを尽くしていること(例えば最高裁判所で判決が出ている場合)、事件の内容が各人権条約で定められた権利の侵害にあたるなどです。条件を満たすと判断された通報だけが3の段階に進みます。
3)本案審査: 2の受理許容性要件を満たしている通報のみ、本案審査の対象になります。実際には、時間の節約のためもあって、受理許容性の審査と本案の審査が同時に進行することが多くなっています。通報者と訴えられた政府の双方からの主張を聴いて、委員会は最終的な判断(見解)を下し、公表します。
4)見解: 見解では、通報者の主張、政府側の反論、訴えの争点、そして条約機関が下した判断などが明らかにされます。人権侵害が認定されると、政府に対して、その是正と救済を求める勧告も出されます。勧告内容は様々ですが、被拘禁者の釈放や被害者への賠償、さらに制度の改善などが求められることもあります。
5)フォローアップ: 見解発表後、条約機関は、発表した勧告がその国で実施されているかどうかをチェックします。具体的には、どのような救済措置を行ったのかについて政府から報告を求めるなど、人権状況の改善を促します。

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