米国: 欧州各国はグアンタナモ収容所閉鎖支援の具体策を

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2010年1月20日
国・地域:米国
トピック:
11日、主要な人権団体は、米国のグアンタナモ収容所に収容され続け、出身国に送還された場合に拷問やその他の人権侵害の危険がある人びとをより多くの欧州の国々が受け入れるよう呼びかけた。

グアンタナモに最初の被収容者が移送されてから8周年を迎え、人権団体は、数年にわたる違法な収容の後もそこから逃れられない状態に陥っている約50人を移送するために、ドイツ、フィンランド、スウェーデン、ルクセンブルグをはじめとする各国がもっと支援すべきだと訴えた。

「すでにいくつかの国が被収容者を受け入れているが、欧州のほんの少数の政府しか保護を必要としている人びとを助けようと申し出ていないことに失望している」と、アムネスティの米国に関するキャンペーナーであるシャロン・クリトフは語った。「支援していない政府の中には、これまで、グアンタナモの閉鎖を最も声高に求めていたところも入っている」

1月11日、「リプリーヴ(Reprieve)」、「センター・フォー・コンスティチューショナル・ライツ」、そして、「ケージ・プリズナー」の元グアンタナモ被収容者モアザム・ベッグが、被収容者に安全な場所を提供することを訴えて欧州横断ツアーを開始した。ツアーはアムネスティ・インターナショナルの各国支部が主催する予定である。

これらの人びとは、行くべき安全な場所がないという、ただそれだけの理由で収容され続けている。彼らは実質、グアンタナモにおいて見捨てられた状態になっている。彼らの状況が、グアンタナモ収容所の閉鎖に向けた最も重大な障害の一つとなっている。

欧州のいくつかの国は、グアンタナモ閉鎖に関する欧州・米国間の協定の目的に従って、そのような被収容者に安全な場所を申し出るという、称賛に値する策をすでにとっている。フランス、アイルランド、ポルトガル、ハンガリー、ベルギーなどの国々である。この重要な記念日に、人権団体は、その他の政府が後に続くよう呼びかける。

リビア、チュニジア、シリア、中国、ロシアなどの出身者は、送還されれば、それらの国で拷問やその他の人権侵害を受ける深刻な危険がある。

米政府は、これらの被収容者の生活が再建できる機会を進んで申し出てくれる安全な国を探し続けており、グアンタナモに収容されている人びとのために解決策を見出す主たる責任がある。

グアンタナモ収容所の閉鎖を繰り返し求めてきた国際社会は、一方で被収容者たちに安全な場所を提供することによって、その目的を実現する手助けができる。

グアンタナモは今も不正義のあからさまな象徴である。人権団体は、収容所が、バラク・オバマ米大統領が閉鎖すると約束した期限である2010年1月22日を過ぎてもそのままであろうことに懸念を表明してきた。より多くの欧州の国が支援のために、今こそ具体策に踏み切らなければ、一番弱い立場にある被収容者の一部は、強制的に送還されて人権侵害を受ける深刻な危機に直面したままとなる。

「過去10年間、私たちは、法の支配と人権に対する国際的な尊重が崩れていく様を見てきた。グアンタナモは、すべてが誤った方向に向かったことの表れであり、今すぐ閉鎖しなければならない」と、センター・フォー・コンスティチューショナル・ライツのソフィー・ウェラーは述べた。「安全な場所がないために収容されている人びとは、閉鎖という目的の達成が遅れ、行動が起こされないことの代償を、毎日、その身をもって払わされ続けている」

「多くの欧州の政府は、グアンタナモにおいて収容が続いていることを非難していた。欧州各国は今、その問題について何かできるはずだ」と、リプリーヴ事務局長であるクライブ・スタフォード・スミスは述べた。「この件に関しては言葉よりも行動の方が雄弁だ。今は言葉を現実に変えるべきときであり、可能な限り早くにグアンタナモを閉鎖すべきだ」

背景情報:
人権団体は、フランス、アイルランド、ポルトガル、ベルギー、ハンガリーなど、すでに支援のために名乗り出た国々の行動を歓迎する。同時に、その他の政府がグアンタナモ閉鎖に関する欧州・米国の共同声明目的にかなう具体策を講じていないことに失望を表明した。2009年6月16日に発表された声明は、いくつかの欧州連合(EU)加盟国が、個々の事案を勘案して元被収容者の受入れを支援する用意があることを表明している。

声明が出されてからほぼ7カ月が経ったが、わずか7人の被収容者しか自由の身で欧州に迎えられていない。その他10人はパラオとバミューダに送られた。2人はイタリアに移送され、裁判にかけられる可能性がある。約50人がいまだに保護を必要としている。

人権団体のツアーは、ルクセンブルグ、スウェーデン、ドイツなど、グアンタナモの被収容者のために安全と適切な受入れを提供でき、被収容者に人生をやり直す機会を与えられる可能性があるいくつかの欧州の国々を訪問する。

人権団体はまた、すでに被収容者を受け入れた各国政府当局者に対し、その専門的知識、励まし、成功事例を、後に続こうと検討しているであろう各国の当局と共有するよう呼びかける。

グアンタナモではいまも198人が収容されている。

アムネスティ発表国際ニュース
2010年1月11日

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