コンゴ民主共和国:集団強かん事件で市民保護・司法の失敗が浮き彫りに

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2010年9月29日
国・地域:コンゴ民主共和国
トピック:
アムネスティ・インターナショナルは、7月30日から8月2日にかけてコンゴ民主共和国北キブ州ワリカレにおいて、集団強かんおよび他の性的暴力事件が発生したという最新の報告に驚きを禁じえない。

国連によると、ルワンダ解放民主軍武装勢力(FDLR)などの武装集団によって、13の村で150人以上の一般市民が強かんされた。報告書の記載によれば、強かんは組織的かつ計画的に行われたものだった。

アムネスティは、コンゴ民主共和国政府と国連に対し、全力を挙げて生存者、目撃者およびその家族に、迅速な身体的・精神的治療を提供するよう要請している。また、加害者を司法の裁きにかけるため、目撃者の証言も含めた証拠も収集・保持されなければならない。
本事件は、国連安全保障理事会が、コンゴ民主共和国における国連ミッションの新たな任務を採択してからわずか数週間後に発生した。新任務は、コンゴ民主共和国政府が、性的または性別に基づくあらゆる暴力行為を含む国際人道法違反や人権侵害から市民を保護することを支援するためのものであり、市民の保護はミッションの他のいかなる業務よりも優先されるということが強調されている。

性暴力やジェンダーに基づく暴力はコンゴ民主共和国東部で広がっており、国連の支持する政府軍を含む、紛争に関わるすべての勢力が犯行に関わっている。

アムネスティの見解では、民衆が受けた恐怖に対処し、このような事件の再発を防止するために、政府と国連は、ただちに民衆の保護の見直しを計らなければならない。

またアムネスティは、司法の裁きと生存者への全面的賠償を求める。国家の司法制度の脆弱さは、ほぼすべての面において国家機能を再構築する取り組みが急務となっていることを意味する。

とくに、性的暴力に対して政府当局が実効的な調査・訴追ができるよう訓練し、事件の生存者が司法の裁きを求める際の障害を除去するために、特別な努力を払わなければならない。

より長期的に一般市民を保護するためには、法治制度の再構築を必須の要素として捉える必要がある。そしてその過程で、国内でも国外でも、司法の裁きを下し、加害者が処罰されずにいる状況を終わらせなければならない。人々が自分の責任が問われないことを知っているために、このような犯罪行為が計画・実行されてしまうのだ。

背景情報

8月25日、国連のマーゴット・ワルストロム事務総長特別代表(紛争下の性暴力担当)が、本件に対する国連の対応の責任者となった。

コンゴ民主共和国政府との討議事項には、安保理決議1888(2009)記載の、「(国連事務総長が)紛争下の性暴力に関してとくに懸念される状況に対して、迅速に専門家チームを派遣し...(中略)...、当事国政府の合意により、政府当局を支援して法治体制を強化する」との、国連安全保障理事会の強い要請が含まれる見込みである。この専門家チームはまだ派遣されていない。

国連安全保障理事会は2010年10月末、「女性の平和と安全」に関する安保理決議1325の10周年記念討議を行い、11月には「一般市民の保護」の展開について討議する予定である。

2010年5月、国連安全保障理事会は安保理決議1925(2010)を採択し、国連コンゴ民主共和国ミッションの活動期限を2011年6月30日まで延長した。

アムネスティ発表国際ニュース
2010年8月26日

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