イタリア:イタリア政府は大量の国外追放をやめるべき

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. イタリア:イタリア政府は大量の国外追放をやめるべき
2010年11月18日
国・地域:イタリア
トピック:難民と移民
アムネスティ・インターナショナルはイタリア政府に対し、海上で保護された68名が国際的保護を申請する機会を与えられないまま48時間以内にエジプトに強制送還されたのかどうか、緊急に本格調査するよう呼びかけている。

イタリア当局の発表によると、2010年10月26日、当局は乗客員131名を乗せた船をシチリア島の沿岸近辺で捕らえた。乗客のうち、68名がパレスチナ国籍を名乗ったという。

その後、捜査当局は彼らをシチリア島のカターニア市に移送し、44人の子供を含む全員を、スポーツ施設内に24時間以上にわたり拘留した。イタリア捜査当局は、この拘留は身分の証明や帰国の準備のために必要な措置だったと主張している。

イタリア当局は10月27日の夜、68人をチャーター便でエジプトのカイロに国外追放した。当局は、彼らがパレスチナ国籍ではなくエジプトからやってきた不法入国者だったと弁明している。

アムネスティは、今回の大量の国外追放が庇護を求める人々の権利をまったく気にかけておらず、イタリア政府が遵守すべき国際難民法および国際人権法に違反していると考えている。

アムネスティはイタリア当局に対し、当局が各個人の身元や年齢を確認し、保護の必然性を考慮し亡命希望の権利を告知したのか、それらをどのように行ったのか、そして亡命の申請があったのか、もしあったのならば、どの程度申し立てが行われたのか、といった事柄を明確にするよう求めている。

「海上で保護されたすべての人は、亡命を申請する機会を与えられなければならず、申し立ては公平かつ十分な水準の手順で査定されなければならなりません。今回のケースでは、国外退去された68名を含む拘留された人びとに対し、このような機会が与えられなかった恐れがあります」とアムネスティの欧州・中央アジア副部長ドン・ダルハイゼは述べた。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や、国際移住機関(IOM)、セーブザチルドレン、イタリア赤十字社などの団体は、幾度の申し入れにもかかわらず、今回保護された人びととの面会を認められなかった。これらの団体は、シチリア島沿岸にたどり着く人びとに対する緊急支援を行うため、欧州連合およびイタリア政府から財政援助を受けている。

アムネスティは、UNHCRが正式な要請を行ったにもかかわらず申し入れを認められなかったのは、2005年以来今回が初めてであると認識している。

拘留された人びとのうち、19名が人身密輸に関連した疑いがあるとして逮捕された。また44名が未成年と判明したため、社会福祉機関に引き渡された。未成年であると確認された乗客員は即座には国外追放されなかったが、彼らが24時間以上にわたり、援助を行うどの機関へもアクセスできないまま拘束されたのではないかとアムネスティは懸念している。

「彼らを追放することを急ぎすぎたあまり、イタリア当局は難民や亡命希望者の保護に関する定められた手順や国際基準を無視しています」とドン・ダルハイゼンは述べた。「イタリア当局は、外国籍の人びとに対する大規模な国外追放を即座に停止すべきです」。

アムネスティ発表国際ニュース
2010年10月28日

関連ニュースリリース