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日本:死刑執行に対する抗議声明

2012年8月 3日
[日本支部声明]
国・地域:日本
トピック:死刑廃止

アムネスティ・インターナショナル日本は、本日、東京拘置所の服部純也さんと大阪拘置所の松村恭造さんの2人の死刑確定者に対して死刑が執行されたことについて抗議する。特に、死刑執行のなかった翌年に、すでに2度の死刑執行を行ったことは、死刑執行に依然として固執する政府の意思表示ともいえるものであり、強く抗議する。

今回の執行に対しては、以前から間近の執行が危惧されていたため、アムネスティはUA(緊急行動)を起こし、滝法相と政府に対し、執行をしないよう求めていた。そして、世界中のアムネスティの会員から、当局に対して、執行停止などを求める要望が寄せられていた。

滝法相は、本年6月の就任後の衆院法務委員会で、執行は法相の職責であり、執行をするとの考えを明言していた。確かに、死刑は我が国の法に定められた刑罰であり、滝法相は、法にのっとった執行をなすべきことが法相の職責であるとする。しかし、法の内容が国際人権基準に反するものである場合には、その法を改正すべく努力することもまた、政府、法相および法務省に課せられた義務である。日本政府は、国連総会決議、国連人権理事会の普遍的定期審査、そして国際人権規約委員会の勧告等で、再三、死刑の廃止に向けて努力することを強く要請されていることを忘れてはならない。

また、小川前法相から引き継いだ死刑制度に関する議論については、非公開の政務三役会議に留め、進捗状況も国民に十分に知らされていない状況であった。十分な情報公開のない議論で、かつ、執行を続けながらの検討では、死刑の是非に関して国民に考える機会を与えず、死刑制度を維持しようとする政府の偏った姿勢と見なさざるを得ない。政府および法相は、死刑の在り方についての議論を有識者を交えた会議や国会等の場に移すなど、政治的リーダーシップを発揮し、死刑制度について、より開かれた国民的議論を喚起するよう速やかに努力すべきである。

アムネスティは、あらゆる死刑に例外なく反対する。死刑は生きる権利の侵害であり、究極的な意味において残虐で非人道的かつ品位を傷つける刑罰である。アムネスティは日本政府に対し、死刑廃止への第一歩として、公式に死刑の執行停止措置を導入するよう要請する。

日本政府は、国際人権諸条約の締約国として、死刑に頼らない刑事司法制度を構築する国際的な義務を負っていることを改めて確認しなければならない。そして、日本政府は、生きる権利をはじめとする人権保障の大原則に立ち戻り、死刑の執行を停止し、死刑廃止に向けた国民的議論を速やかに開始すべきである。

2012年8月3日 
公益社団法人 アムネスティ・インターナショナル日本


背景情報

日本は、国際社会の責任ある一員として、死刑廃止に向かう世界の情勢も十分に考慮しなければならない。現在、全世界の7割に当たる141ヵ国が、法律上または事実上死刑を廃止している。アジア太平洋地域においても41ヵ国のうち28ヵ国が、法律上または事実上、死刑を廃止している。東アジアでは、韓国が2008年に事実上の死刑廃止国となり、現在まで14年間、執行を停止している。さらに、本年3月13日にはモンゴルが、そして7月5日にはベナンが、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」の第2選択議定書(いわゆる死刑廃止議定書)に公式に加入した。死刑廃止へと進むこれらの国の多くで、世論の多数は死刑の存置を支持していたことを踏まえると、死刑廃止へと国民を導く政治的リーダーシップがいかに重要かがわかる。

アメリカは、G8諸国内で日本と並ぶ死刑存置国ではあるが、本年4月25日には、コネチカット州で死刑が廃止された。現在、全50州のうち17州とコロンビア特別区が死刑を廃止しており、死刑廃止州の割合はついに3分の1を超えた。さらに、昨年11月22日にはオレゴン州知事が任期中の執行停止を表明している。2011年に、実際に死刑を執行したのは、13州にとどまっている。

冤罪の危険性も、死刑廃止の重要な論拠である。とりわけ、現在も再審請求の審理が続く袴田事件では、代用監獄や捜査取調べ中の自白強要など、冤罪につながる日本の刑事司法の問題点が、数多く指摘されている。そして、本年4月16日には、冤罪の決定的な証拠ともなりうるDNA鑑定の結果が提出された。国家が引き起こす冤罪による長期間の拘禁と処刑は、「究極の不正義」である。刑事司法から誤判の可能性を完全に払拭することができない以上、死刑という取り返しのつかない刑罰を行使すべきではない。

死刑に特別な犯罪の抑止効果はない、ということも今日の世界的な共通認識となっている。科学的な研究において、死刑が他の刑罰に比べて効果的に犯罪を抑止するという確実な証明はなされていない。死刑と殺人発生率の関係に関する研究が1988年に国連からの委託で実施され、1996年と2002年に再調査されているが、最新の調査では「死刑が終身刑よりも大きな抑止力を持つことを科学的に裏付ける研究はない。そのような裏付けが近々得られる可能性はない。抑止力仮説を積極的に支持する証拠は見つかっていない」との結論が出されている。また、いわゆる「みせしめ」としての死刑は、国家による究極的な暴力に過ぎない。人間の生きる権利を、政治的社会的な目的のための手段とする発想は、国際人権基準に照らし、決して許されるものではない。

アムネスティは、死刑判決を受けた者が犯した罪について、これを過小評価したり、許したりしようとするわけではない。しかし、被害者とその遺族の人権の保障は、死刑により加害者の命を奪うことによってではなく、国家が経済的、心理的な支援を通じ、苦しみを緩和するためのシステムを構築すること等によって、成し遂げられるべきである。

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