バングラデシュ:土地を奪われるチッタゴンの先住民族

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2013年6月14日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:バングラデシュ
トピック:先住民族/少数民族

先住民族パハリの人びとは、先祖伝来の土地を政府が返してくれるのを待ち続けている。(C) Amnesty International
先住民族パハリの人びとは、先祖伝来の土地を政府が返してくれるのを待ち続けている。(C) Amnesty International

バングラデシュ政府は、同国南東にあるチッタゴン丘陵地帯の先祖伝来の土地問題を収束させることができなかった。その結果、何万人もの先住民族パハリの人びとが、土地を失い、ベンガル移住者と暴力を伴う衝突を繰り返すことになった。

アムネスティは報告書『Push to the Edge(周縁に追われる人びと)』の中で、15年以上前に調印された協定の条件に従って政府が対応し、自分たちに土地が戻ることをパハリの人びとが待ち続けていることを詳しく説明した。

土地をめぐって、パハリ住民とベンガル移住者の衝突が繰り返されている。土地争いで衝突が煽られ、パハリの先住民族の人びとは非常に危険な状況で、辛酸をなめてきた。

バングラデシュ当局は、直ちにこの問題に対応するべきである。

先住民族の人びとは、先祖伝来の土地に対する権利もしくは奪われた土地の適切な補償を否定されてきた。これは、明らかに国際人権法に違反する。

紛争がさらに人びとを追い立ててる

チッタゴン丘陵地帯では、パハリが自治権の拡大と先祖伝来の土地の保護を要求したことがきっかけで長い間、紛争が続いてきた。

1997年平和協定には、パハリの先祖伝来の土地を返すための一連の改革が含まれていた。しかし、バングラデシュ政府が繰り返し約束していたにも関わらず、せいぜい一部分しか実行されていない。

紛争はパハリに壊滅的な影響を与えていて、現在、推定で9万以上ものパハリの家族が国内避難の状況に置かれている。

土地所有権問題の解決に向け平和協定に従って設立された土地委員会は、いまだに一度も裁定を下していない。

紛争の最中や後にチッタゴン丘陵地帯に移動してきた何千ものベンガル移住者は、新たな暴力的衝突を引き起こしながら、次第に、パハリの先祖伝来の土地を占領し入り込んできた。たいていが平原地帯からの土地なし家族である移住者は、紛争中、対反政府活動の一部としての土地の提供を条件にチッタゴン丘陵地帯への移動を促された。

15年経っても果たされない約束

パハリが一連の衝突で受けてきた被害は、あまりにも大きすぎる。何百人ものパハリ家族が、土地争いで家を焼かれたりしてホームレスにされてきた。

多くの、特に田舎の、パハリ先住民族にとって、先祖伝来の土地はただ生計に影響しているだけでなく、彼らの生き方そのものにも影響している。パハリに土地を返すために土地委員会ができて15年、まだ機能していないなどということがあり得るのだろうか。

1997年の平和協定では、すべての暫定的陸軍基地をチッタゴン丘陵地帯から撤収するという約束だった。にも関わらず、同地域は、今もなお、陸軍が駐留する国内最大の軍事拠点のままである。多くのパハリは、ベンガル移住者は土地占有を続けるための支援を受けていると見ている。

この暴力はこれらの深刻な土地争いが解決されない限り続くだろう。それはバングラデシュ当局がパハリの人びとの身の安全を守れないことを示している。

アムネスティは、バングラデシュ政府が、先住民族の人権に関する国連宣言や先住民と部族民に関するILO条約第107条といった国際人権法において、義務を重んじるように、そして、パハリに人びとが、女性も男性も、実効的に参加したうえで、土地返還への具体的措置をとるように要求している。

アムネスティは、各政党に対して、2014年の総選挙までに、パハリの土地権利の回復を選挙公約に含むことを要求している。 

アムネスティ国際ニュース
2013年6月12日

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