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日本:名張毒ぶどう酒事件 ― 真実から目を背ける司法の判断

2013年10月17日
[日本支部声明]
国・地域:日本
トピック:死刑廃止

名張毒ぶどう酒事件の第7次再審請求の差し戻し後の特別抗告審で、最高裁判所第1小法廷は、奥西勝さんの特別抗告を棄却する決定をした。アムネスティ・インターナショナル日本は、この決定に対して強い懸念を表明するとともに、再審理の機会を保障するよう求める。

今回の再審請求では、実際にぶどう酒に入れられた毒物が、奥西さんの自白した農薬「ニッカリンT」だったかのかが争点となったが、櫻井龍子裁判長は鑑定結果から、弁護側の新証拠が奥西死刑確定者の自白の信用性に影響を及ぼさないことは明らかだと判断した。

名張毒ぶどう酒事件をめぐる司法の判断は、これまで揺れ動いてきた。1964年、第1審の津地方裁判所は、唯一の物証とされたぶどう酒びん王冠の歯形は奥西さんのものとは断定できず、また奥西さんの自白は信用できないとし、無罪判決を言い渡した。しかし、名古屋高裁は1969年、王冠の傷痕は奥西さんの歯形と一致するという鑑定などを根拠に、一転して死刑判決を下し、1972年に最高裁で死刑判決が確定した。その後、有罪の根拠とされた王冠の歯形の鑑定が、鑑定写真の倍率を操作した虚偽鑑定であったことが判明している。

2005年には科学鑑定に基づき、名古屋高裁で再審開始の決定が出たものの、後に同高裁によってその決定は取り消された。裁判所の判断がこのように揺れ動くこと自体、確定判決の事実認定には合理的な疑いが生じていることを示している。

アムネスティ・インターナショナル東アジア部部長 ロザーン・ライフは、「奥西勝さんの再審が開始されるべきであったことは疑いようもない。今回の最高裁判所の決定は、真実から目を背け、正義を果たしていない」と述べた。

さらに、奥西さんの自白が強いられたものであることを強調し、「取り調べの過程で虚偽の自白を強要されたことからも、再審の必要性があることは明らかであり、現在の奥西さんの体調を考えると、一刻の猶予も許されない」と指摘した。

奥西さんは今年で87歳。40年以上にわたって死刑囚として投獄されている。2012年5月の再審請求棄却の直後から体調を崩して八王子医療刑務所に収監されおり、その健康状態は極めて深刻な状況にある。

本件については、新たな再審請求が出されることも予想される。アムネスティは、真実から目を背けた今回の最高裁判所の決定に深刻な懸念を表明するとともに、一刻も早く奥西さんの再審を受ける機会が保障されるよう今一度強く求める。

アムネスティは、あらゆる死刑に例外なく反対する。死刑は生きる権利の侵害であり、究極的に残虐で非人道的かつ品位を傷つける刑罰である。アムネスティは日本政府に対し、死刑廃止への第一歩として、奥西さんを含めたすべての死刑囚について、公式に死刑の執行停止措置を取るよう要請する。今後もアムネスティは、奥西さんの事件について、世界的な規模で支援を続けていく。

2013年10月17日
アムネスティ・インターナショナル日本

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