リビア:コプト教徒ら21名の殺害は戦争犯罪

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2015年2月21日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:リビア
トピック:地域紛争

「イスラム国のトリポリ支部」と自称する武装グループがキリスト教の一派のコプト教の信者21名を殺害したのは戦争犯罪であり、人道の基本原則に対する攻撃である。

同グループがインターネットで公開した映像には、リビアの首都トリポリとされる海岸で、オレンジ色の服を着た21名が、覆面の男らに海岸に引き出されてひざまずかされ、斬首される様子を映していた。

そのほとんどがエジプト人だった。元キリスト教徒のエジプト人女性、カミラ・シェハタさんがイスラム教に改宗し、その改宗が激しい抗議を招き、シェハタさんは行方不明となり拉致されたのではないかという事態となった。今回の殺害はその拉致に対する報復だった。

信仰上の理由による殺害は絶対許せない。この残虐極まりない殺害と入念に作り上げられた映像は、リビアやエジプトほか世界を怯えさせることを狙っており、残忍で悪質なものだった。

犠牲者の家族には特に衝撃的である。アムネスティは、エジプト当局に対して、茫然自失の家族が必要とする心理的・社会的ケアを提供するよう要請する。犠牲者の家族は上エジプトの貧しい地域の出身で稼ぎ手を失ったかもしれず、当局は経済的な補償も行う必要がある。

エジプトのコプト教徒は数十年にわたって他の宗派から差別や攻撃を受けてきた。特に礼拝所の建設などをめぐる差別が際立っていた。しかし、当局は彼らを保護する手立てを打ってこなかった。

家族によると、リビアで起きた2件の事件で20人が拉致された。2月13日、武装グループのインターネット上の機関誌は、拉致事件はエジプトのコプト教会がシェハタさんらイスラム教の女性を迫害したことへの報復だという声明を出した。

アムネスティは、武装グループと関連当局に対して全力を挙げて、行方不明のエジプト人7名(大部分がコプト教徒)の所在を明らかにするよう要請する。

背景情報

ガタフィ後のリビアでは、宗教的少数派に対する攻撃が激化した。特にベンガジとスルトにおいて、拉致、拷問などの虐待、国際法違反の殺害を受けてきた。

2011年の武力紛争終結後、スルトはアンサール・アル・シャリーアなどのイスラム武装グループの拠点となった。彼らはイスラム法の独自の解釈を強要し、深刻な人権侵害で非難を受けている。

2014年11月、リビアの武装グループは、「イスラム国」と自称する武装グループに忠誠を誓うと宣言し、スルト、トリポリ、ミスラタ、ザウィヤなど同国西部の7都市を統括するトリポリ支部を設立すると発表した。

アムネスティ国際ニュース
2015年2月16日

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