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日本:取調べの可視化を求める市民団体連絡会 声明

2015年3月17日
[NGO共同声明]
国・地域:日本
トピック:取調べの可視化

2015年3月17日

取調べの録音・録画制度の創設へ 国会は誠実な討論を
たった2%の導入で本当に冤罪は防げるのか

 

政府は第189回通常国会において、取調べの録音・録画制度の導入を含む刑事訴訟法等の一部改正法案を提出する予定です。法案は3月13日に閣議決定され、3月中旬以降から審議が始まると言われています。

私たち市民団体は、法案の中身についてほとんど審議されることなく採決されることを、強く懸念しています。今回の刑事訴訟法の改正は、2011年の法務大臣による法制審議会への諮問が発端であり、諮問の主たる目的は、そもそも、不当な取調べと冤罪を防止するための制度改革でした。しかし、法制審議会の答申に基づいた同法律案要綱は、冤罪の根本原因をなくすための改革とは程遠い中身でした。

来る法案審議において、すべての政党は、冤罪をなくすという本来の目的に帰り、真摯に議論を尽くすべきです。とりわけ、以下の点については厳しく追及すべきです。

1.全刑事事件の2%程度に限定された録音・録画の義務化:「法律案要綱」第一 一の1の(一)

『刑事訴訟法等の一部を改正する法律案要綱』(以下、「法律案要綱」)では、録音・録画の対象が裁判員裁判になる事件と検察の独自捜査事件に限定されています((1)(2)(3))。しかし、警察段階での取調べで多くの虚偽自白が作られていること、厚生労働省元局長事件、志布志事件、PC遠隔操作冤罪事件、さらに痴漢冤罪事件など裁判員対象事件以外でも冤罪が多発していることから、すべての事件の被疑者および参考人の取調べを対象とすべきです。

2.曖昧な録音・録画の例外事由「法律案要綱」第一 一の2

録音・録画の例外事由が4つ挙げられていますが、しかし、「十分な供述をできないと認めるとき」((2)及び(4))、「畏怖させ、若しくは困惑させる」((4))、「被疑者が記録を拒んだとき」((2))などの規定は曖昧であり、取調べ官による拡大解釈や裁量の余地が大きくなる恐れがあります。例外なき録音・録画を基本原則とすべきです。

そもそも、2000年代になって相次いで明らかになった冤罪事件について、国会は十分に審議したとは言えません。冤罪被害を受けた当事者や弁護人などを国会に招き、十分な議論を行い、冤罪をなくすために必要な制度改革を推し進めるよう、私たちは強く求めます。
さらに法案には、以下のような問題があります。

3.いまだ不十分な証拠開示制度 「法律案要綱」第一 六の1

公判前整理手続きに附された事件で、被告人または弁護人から請求があれば証拠の一覧表を渡すことが義務化されることになりました。袴田事件、布川事件、東電女性社員殺害事件などでは、確定審までに開示されなかった証拠が後に開示されたことによって、再審開始決定に結びつきました。裁判での証拠利用制限について抜本的に考え直し、再審を含む全事件で、証拠の全面開示を基本とすべきです。

4.国際的にも批判が集中している「代用監獄制度」の見直しがまったく触れられていない

2013年の国連拷問禁止委員会および2014年の国連自由権規約委員会による日本審査で、最も厳しく批判された問題の一つは「代用監獄制度」です。最大23日間も警察に身柄を拘束される、世界でも類を見ない同制度について、法制審議会の答申でも「法律案要綱」でも、見直しに向けた提案がまったくなされていません。冤罪をなくすために、「代用監獄制度」の廃止に向けた道筋を議論すべきです。

5.通信傍受の拡大によるプライバシーの侵害 「法律案要綱」第五

通信傍受の対象犯罪を窃盗や詐欺などにも拡大し、通信事業者職員の立会も省略しており、通信傍受を行いやすい制度が提案されています。通信傍受の運用は、プライバシーの権利を保障する国際人権基準に反する危険をはらんでいます。

私たちは、上記の点についても本国会で議論を尽くすよう、各政党に求めます。

 

取調べの可視化を求める市民団体連絡会

【呼びかけ団体】
アムネスティ・インターナショナル日本/監獄人権センター/日本国民救援会/ヒューマンライツ・ナウ

【構成団体】
冤罪・布川事件の国家賠償請求訴訟を支援する会/国際人権活動日本委員会/志布志の住民の人権を考える会/社団法人自由人権協会/人権と報道・連絡会/菅家さんを支える会・栃木/富山(氷見)冤罪国賠を支える会/なくせ冤罪!市民評議会/名張毒ぶどう酒事件全国ネットワーク/袴 田巖さんの再審を求める会/袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会/フォーラム平和・人権・環境/無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会

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