インドネシア:弾圧から50年 見捨てられ続けた被害者

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2015年9月29日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:インドネシア
トピック:

インドネシアは9月30日、軍による弾圧事件から50年目を迎える。同国政府は、この節目に甚大な人権侵害の過去を直視し、いまだに果されていない事実究明と加害者の裁き、被害者への賠償を行うべきである。

1965年、軍はクーデターに失敗し、インドネシア共産党員、その支持者と見なした人びとに激しい弾圧を開始した。軍が全土で、殺害、拷問、強制失踪、強かん、奴隷化、恣意的逮捕・拘禁、強制立ち退き、強制労働など、さまざまな人権侵害を犯したことが、複数の人権団体の調査で明らかになっている。

死者数は50万人から100万人と推定され、何十万人もの人が起訴も公判もないまま、数日から最長14年に渡って拘束された。

被害者とその家族の多くが、社会的・経済的・文化的権利を侵害され、法律上も現実面でも差別を受けてきた。歴代政府は被害者を見捨て、国際法が保障する加害者の処罰と賠償を行ってこなかった。

同国の国家人権委員会は、2012年7月までの3年間、この人権侵害を調査した。
その結果、1965年と翌年に全土にわたり多くの人権侵害があった事実を確認した。同委員会は2012年7月、検察庁長官に対し、調査の結果に基づき正式な捜査を開始し、加害者を裁くよう要請した。さらに国に対し、真実和解委員会を設置し、被害者とその家族たちに公式に謝罪するよう求めた。

しかし、今日に至っても検察庁が調査を始めた様子はない。真実和解委員会の設置も、国の怠慢で宙に浮いたままだ。

ジョコ・ウィドド大統領は8月の独立記念日の演説の中で、過去のすべての人権侵害事件を和解委員会で解決するための体制を、司法機関外に設置すると発表した。過去のすべてには、50年前の人権侵害も含むと見られる。

この問題への不作為は、加害者が罪を問われないという、この国にまん延する土壌を物語る。

政府は、アチェ、東ティモール、パプア、ジャカルタ大暴動などで激しく弾圧された被害者に対し、事実の究明、処罰、賠償などを一貫して拒んできた。

アムネスティとTAPOL(インドネシア人権キャンペーン)は英国で9月23日、軍の弾圧事件から50年を機に、「犠牲者たちを忘れない」というイベントを催した。アムネスティは、今後数週間、他の国々でも各種イベントを開催し、インドネシア当局に対し被害者たちへの正義を果たすよう訴えていく。

アムネスティ国際ニュース
2015年9月23日

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