日本:要請書 シリア難民受け入れに関する要請

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2015年11月 6日
[公開書簡]
国・地域:日本
トピック:難民と移民

2015年11月6日

法務大臣 岩城光英 殿

公益社団法人 アムネスティ・インターナショナル日本
事務局長 若林秀樹

 

シリア難民受け入れに関する要請

シリア紛争が勃発してから4年、難民の数はかつてないほどに急増しています。シリアの人口の半分が難民あるいは国内避難民となっており、行く場所もない状態です。400万人を超えるシリア難民のうち380万人が、エジプト、イラク、ヨルダン、レバノン、トルコの近隣5カ国に集中しています。レバノンやトルコでは、受け入れた難民の数はすでに100万人を超え、特にレバノンでは難民の数が同国の全人口の4分の1に相当するほどに膨れ上がっています。今、世界各国で受け入れを増やさなければ、近隣諸国は破綻してしまうでしょう。

トルコの浜辺にシリア難民の幼い子どもたちの遺体が流れ着くという悲劇的な事件をきっかけに、周辺国以外の国での受け入れが拡大しています。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、2013年から現在まで、世界中で受け入れを表明した数は102,489件となっています。それでも近隣諸国で避難生活を送っているシリアの人びとのうち、2.5%にすぎません。

日本政府は、難民の受け入れ自体に極めて消極的です。2014年に5,000人が難民として申請し、11人しか認定されていません。難民条約に基づく難民としての認定だけでなく、人道的配慮に基づく特別在留許可を出す場合も、数カ月から数年かかるケースが散見されます。しかし、それでは命の危険にさらされているシリア難民を救うことはできません。

国際社会が一丸となってシリア難民を受け入れようとしている中、難民保護は世界の責任であり、経済的人道支援だけでなく、安全に生活する場の提供が求められています。日本にはその力があるはずです。こうした状況に鑑み、アムネスティ・インターナショナル日本は、シリア難民が安全な暮らしができるように日本での受け入れを求める署名5,059筆を集めました。

積極的な受け入れは、国際社会へ日本の存在感を高めるよい機会となります。ぜひ、受け入れを推進するよう要請いたします。また、受け入れの際には、第三国定住でも人道的な受け入れでも、扱いに区別なく、政府と民間で連携して、必要な生活の保護をすすめてください。

そして、来る11月15日のG20サミットにあたり、日本がシリア難民の受け入れに積極的に取り組むことを表明するよう重ねて要請いたします。

以上