エジプト:新法で人権団体壊滅の危機

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2017年6月 6日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:エジプト
トピック:

エジプトのエルシーシ大統領は、同国で活動するNGO団体の活動を一層厳しく制限する新法に署名した。新法の施行により、同国の人権団体は活動停止に追い込まれかねない。

この法律は、政府が人権団体などのNGOを強大な権限で管理し、わずかな違法行為に対しても厳罰を科す権限を当局に与えている。これは昨今、当局が行ってきた個人の口を徹底して封じる新たな措置である。

法案が議会を通過した昨年11月以来、アムネスティ・インターナショナルは、大統領に対し、法案は同国の憲法や国際的義務に反するとして、署名を思いとどまるよう訴えてきた。しかし大統領は、市民や人権団体の懸念を顧みることなく、法案に署名した。

過去3年以上、当局は人権団体を標的にした取り調べや嫌がらせを行ってきた。人権団体の職員24人が出国を禁止され、7団体と10人が資産を凍結された。最近では、裁判所調査官がカイロ人権研究会など2つの人権団体の代表を出頭させた。両名ともその後保釈された。

さらに5月23日、当局は元大統領候補カールド・アリ氏を、その行動が社会的品位に欠けるとして逮捕した。同氏は翌日保釈されたが、裁判を待つ身となった。さらに政府は、政府に批判的なニュースサイトなど21以上のウエブサイトを閉鎖した。

国際社会は、あまりに長い間、エジプトの人権問題に対し見て見ぬふりをしてきたため、当局は、国際社会の追求を恐れることなく、地道に声を上げる人たちへの弾圧を強化する結果となった。

国際社会は、エジプトに対し、人権団体の捜査をやめ、壊滅的な人権状況をもたらす新法を葬り去るよう、圧力を加えるべきである。

アムネスティ国際ニュース
2017年5月30日

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