EU:身勝手な新難民対応策

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2018年7月 9日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:EU
トピック:難民と移民

欧州連合の首脳会議は、流入する難民に、思いやりではなく、恐怖を投げつけることを選択した。その結果、庇護希望者という特に弱い立場にある人びとをさらに窮地に陥れるおそれがある。

EU首脳は、庇護希望者や移民を管理する施設を加盟国が設置すること、EU外の第三国に、海上で救助された庇護希望者が上陸できる施設を設置すること、などの難民対応策で合意した。

しかしこれでは、庇護希望者に深刻な人権侵害を引き起こすおそれがある。

今回の首脳会議は、すでに破たんしている難民の受け入れ制度を見直し、公正で、実効性があり、庇護希望者に配慮ある政策を再構築するいい機会だったはずだ。ところが、移民に排他的で、域外の国に責任を押し付けようとする国に、押し切られる格好となった。

安全を求めてEUの沿岸にたどり着いた難民を、管理・収容する施設に閉じ込めるのは、問題である。連帯と人権尊重というEUの設立精神とは、まったく相容れないものだ。

EUはまた、リビアにいる難民や移民が被っている人権侵害への確固たる対応案をとらなかった。彼らへの人権侵害は欧州独自のリビア支援の結果、起きているものもある。EUが支援するリビア沿岸警備隊が、海上で難民の行方を阻み、拘禁施設に送り返すことが、ますます多くなっているが、施設では、拷問や虐待などの暴力をまん延している。こうした施設に、当局の勝手な判断で拘禁されている人の数は、直近では9000人に達した。

同様に、マルタとイタリアは、海上で難民を支援するNGOに港を提供することを停止したため、難民らは何日も漂流することになる。

緊急課題が山積する。現実的な上陸計画、ダブリン規則(庇護希望者が最初に着いた国が難民の扱いに責任を持つ)の改革、上陸を目指す難民への代替ルートの提供など、至急の対応を要する。

アムネスティ国際ニュース
2018年6月29日

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