スコット・ウオレンさん

2019年11月20日、アリゾナ州の裁判所は、移民をかくまったなどの容疑に問われていた人道支援ボランティア、スコット・ウオレンさんに無罪を言い渡しました。有罪なら10年の刑を受けるところでした。

ウオレンさんは、自宅があるアリゾナの砂漠の町アホで、非正規移民2人に対して、食料、水、衣服などの物資を与えるなどした行為が「不法入国者をかくまった」など3つの容疑にあたるとして、起訴されました。6月の陪審員裁判では、12人中8人の陪審員が無罪としましたが、全員一致の評決には至らず審理無効となっていました。

「人道支援は犯罪ではない」

ウオレンさんのような人道支援活動に対する取り締まりは、トランプ政権による移民や難民に対する否定的な政策のもとで進められています。保護を求めて米国を目指す人たちの入国を阻止・抑止するために、人道支援が阻害されているのです。

トランプ政権は、ウオレンさんを10年の刑で罰することで、非正規移民に対する支援は犯罪であることを見せつけ、安全を求めて入国した人びとにとって砂漠を越えられない壁にしようとしたのです。

今回の判決は、困難な状況にある人びとを助ける行為を処罰しようとすることに対して、明確に「ノー」を突き付けました。

アムネスティは、世界中で署名活動やSNSで、ウォレンさんに対する起訴を取り下げるように求め、日本でも600筆が集まりました。ご協力を、ありがとうございました!

参考資料

アムネスティは、7月に公表した調査報告書の中で、トランプ政権は刑事司法制度を乱用し、メキシコとの国境で移民や庇護希望者を支援する人びとを脅したり処罰したりしている実態を明らかにしています。