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香港国家安全維持法制定に向けた動きが進む中、2020年6月4日に香港で行われた天安門事件記念集会。「コロナウイルス対策」を理由に当局が集会を禁止するも、大勢の市民が集まった。©Kaoru Ng

7月12日(日)、アムネスティ・インターナショナル日本では、緊急オンラインイベント「香港の若者が語る~今そこにある自由の危機~」を開催しました。

急速に変わる香港

イベントでは、最初に香港の大学院生である石井大智さんより、これまでの香港の動きと国家安全維持法導入の経緯や今の時点で法律についてわかっていることなどについて説明がありました。特にイベントの日に行われていた民主派の予備選挙および9月に予定されている選挙の動向については、ライブのさなかにも質問がでました。

そのあと、香港育ちのKaoruさんと香港で働く日本人女性のお二人が、生活者の目線から現地の受けとめについて語りました。写真家でもあるKaoruさんは、この1年間に起きたできごとを自身が撮影したインパクトのある写真とともに伝えてくれました。締め付けが厳しくなる中、香港の人びとが自分たちの意志をどう表現してきたのか、例えば民主派を支持する方たちは買い物をする際に民主派を表明している店舗を選ぶことなどは、視聴者にとても印象的だったようです。

また、日本人女性は、同僚の様子などから、国家安全維持法の導入や選挙をきっかけに、より深く香港の行く末について考えるようになった人が多くなった、表現に規制がかかることで、かえって心の中の思いが強くなったように思う、と、人々の変化について答えました。また、ご自身はメディアで報道されているほど香港の将来については悲観していないと考えていることを繰り返しおっしゃっていました。

国家安全維持法が香港で施行されてからまだ2週間もたっていませんでしたが、適用範囲があいまいなこと、すでに逮捕者が出ていること、などから、この短い間にも、現地では言葉に頼らない意見表明の方法が次々と生み出されているというお話には、住民の無言の闘いぶりが伝わってきました。

日本は、日本人は、何ができるのか

イベントを視聴した方から多くいただいたのは、「日本は、私は、香港のために何ができるのか?」というご質問でした。パネリストの意見は必ずしも一致しませんでしたが、「日本政府として、香港からの人を受け入れてほしい」「個人のレベルでは、香港で起きていることに常に関心を持ち続けてほしい」「香港と日本が同じ地域というだけではなく、自由を尊重するという同じ価値観を持つ者であることを認識し、それが奪われようとしていることを意識してほしい」等の回答がありました。

今、香港で起きていることは決して他人事ではなく、同じ地域に住む市民として、日本や朝鮮半島にも大きく影響を与える可能性もあります。また、中国本土では、少数民族などへの人権弾圧が行われていますが、日本では必ずしも広く知られているとは言えません。

参加者からの声

YouTubeのライブストリーミングで配信したこのイベントには600人近くの方にご参加いただきました。視聴された方からは、勇気をもって香港について話したパネリストへの感謝の声が聞かれました。

今回ゲストとして参加された3人は、いずれも香港に在住する若者であり、現地で真剣に将来を考える層でもあります。アムネスティは今後も、こうしたリアルな声を伝えることで、懸念が拡大する現地の人権問題について共に考え、行動していきます。

署名にご協力ください!

中国政府は、香港の言論・表現の自由を奪うだけでなく、少数民族に対しても徹底的に弾圧を行っています。中国の新疆ウイグル自治区では、ウイグル族などイスラム教徒の人たちに対して強硬な取り締まりを行っており、日本を含め、海外に住むウイグルの人たちも、脅迫や嫌がらせを受けています。 アムネスティは、海外に住むウイグル人への脅迫や嫌がらせをやめるよう、また、新疆ウイグル自治区内の強制収容所を閉鎖するよう中国政府に求める署名を行っています。 弾圧を受けている人たちのために、声を上げてください。

署名に参加する

 

実施日 2020年7月12日(日)
場所 オンライン
主催 アムネスティ日本 中国チーム