ポピ・クワベさんとボンゲカ・フングラさん

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南アフリカで4年前、ポピ・クワベさんとボンゲカ・フングラさんが殺害されました。しかし、警察のずさんな捜査で殺人犯が野放しになっていました。アムネスティは南アフリカの警察大臣に対し徹底捜査を求める活動を世界中で展開。そして2021年4月、2人の遺族とともに警察副総監らと話し合いの場を持ち、集まった32万の署名を提出し、要請を直接伝えました。その結果、再捜査が約束され、現在、警察は起訴に向けて確実に動いています。

南アフリカで軽視されるジェンダーに基づく暴力事件

2017年5月、24歳のポピ・クワベさんと28歳のボンゲカ・フングラさんは、タクシーで外出したきり連絡が途絶えてしまいました。家族は病院や警察署を必死に探し、彼女たちが無残に撃ち殺されて、道路脇に遺体が捨てられていたことを知ります。性的暴行を受けた可能性もありました。2人は才能にあふれた演劇専攻の学生で、輝かしい未来が待っていたはずでした。その未来が何者かに奪われたのです。

2人の血痕や所持品が残されたタクシーが見つかり、タクシー運転手2人が逮捕されました。彼らは彼女たちの携帯電話や口紅などを持っていましたが、車内で拾っただけだ、2人が乗っているときに強盗に襲われ飛び降りたと主張しました。なぜ警察に通報しなかったのかという点は追求されず、法医学鑑定や検視の結果も公表されませんでした。そして、警察は証拠不十分で運転手たちを釈放。その後さらなる捜査は行われず、事件は棚上げとなっていました。

南アフリカでは、女性がおよそ3時間に1人殺されています。しかし、犯人が裁かれることはほとんどありません。2人のケースが本格的に捜査されることで、他の被害者のための正義にも道が開かれることが期待されます。

アムネスティの取り組み

アムネスティのサポーターから届いた手紙を受け取るポピ・クワベさんの妹

アムネスティのサポーターから届いた手紙を受け取るポピ・クワベさんの妹 © Amnesty International

事件後、3年たっても徹底的な捜査が行われず、一人として裁かれていないことに対し、アムネスティは、2020年のライティングマラソンでこのケースを取り上げ、南アフリカの警察大臣に対し徹底捜査を求める活動を世界中で行いました。日本でも地域グループが各地で行った手紙書きやオンラインアクションで、要請を行いました。

2021年4月、アムネスティは2人の遺族とともに警察副総監らと話し合いの場を持ち、集まった32万の署名を提出し、要請を直接伝えました。その結果、再捜査が約束され、現在、警察は起訴に向けて確実に動いています。

ポピ・クワベさんとボンゲカ・フングラさんのために声をあげてくださった皆さん、ありがとうございました!