8月8日(水)、午後1時より、滝 実(たき まこと)法務大臣との面会にいってきました。

滝大臣は、6月4日の内閣改造で法務大臣になりました。しかし、就任後2ヵ月と経たない8月3日に、2名に対する死刑執行をしました。今回の面会は、執行前に大臣と約束をしていたものでしたが、残念ながら、死刑執行に抗議する面会となってしまいました。

面会には、死刑廃止を求める市民団体の代表が参加しました。「アムネスティ日本」からは、若林事務局長と職員1名が同行しました。また、「NPO法人監獄人権センター」からは海渡弁護士と田鎖弁護士が、「死刑廃止国際条約の批准を求めるFORUM90」からは深田氏が参加しました。

面会では、死刑の執行に抗議するとともに、主に下記の3点を要請しました。
 

  1. 本年の国連による死刑執行停止決議に反対票を投じないこと
    今回で4回目となる国連総会の死刑執行停止決議。日本は過去3回とも反対票を投じてきました。しかし、死刑廃止へと向かう国際世論を十分に考慮して、今回は反対をしないよう要請しました。

  2. 国連人権理事会のUPR(普遍的定期審査)の勧告などに応えること
    4年毎に全ての国連加盟国の人権状況が審査されるUPR。前回のUPRで日本は、死刑執行停止及び死刑廃止に向けて早急に死刑の執行を見直すべきだ、といった勧告を受けています。本年の10月に2回目の審査が実施されるにあたり、勧告を実現する努力をするよう要請しました。

  3. 死刑執行を停止し、開かれた議論を実現すること
    就任わずか2ヵ月で死刑執行に踏み切った滝法相。しかし、執行命令の権限を法相に与えた法の趣旨からすれば、執行に慎重を期すのも法相の職責です。死刑廃止へと向かう世界の人権意識を受け止めて、死刑の執行を停止し、閉鎖的な政務三役会議を開かれた場へと移すことなどを要請しました。

滝大臣は、全ての要請に対し、一つ一つ丁寧に答えてくださいました。
各国の死刑廃止には、たとえばイギリスではエバンス事件、フランスではアンリ事件といったきっかけとなる事件があったことを挙げ、国民的な議論が盛り上がり、国会に調査会などが設置されれば法務省は情報を提供したい、と発言されました。
これに対しては、市民社会の声はもちろん重要ですが、同時に、廃止に向けた議論を進める政治的なリーダーシップの重要性を、改めて訴えました。

実施日2012年8月8日(水)


死刑廃止について考える