モーゼス・アカトゥグバさんは、拷問で強いられた自白を基に死刑を宣告され、10年以上にわたって拘禁されていました。2015年5月、デルタ州知事の恩赦で、遂に釈放されました!

モーゼスさんは、16歳の時、携帯電話3台など700米ドル相当の強盗と殺人の容疑で逮捕されました。逮捕時、兵士たちに手を銃で撃たれ、頭や背中を繰り返し殴られたと証言しています。取調官は、自白を得るために、モーゼスさんを刃物で切りつけ、警棒で殴り、取調室で何時間も天井から吊るし、ペンチを使って指と足の爪を剥ぎました。裁判で、自白は強要されたものだとして、無実を訴えましたが、その主張は聞き入れられませんでした。

アムネスティはモーゼスさんのために、世界中で署名活動を実施。彼の刑を減刑し、モーゼスさんが受けた拷問を調査するよう州知事に求めました。この活動には、世界で80万人以上が参加し、日本からも2,100筆を超える署名が集まりました。こうした国際的に拡がった非難の声に、昨年10月、州知事は「減刑を検討したい」と答えていました。そして、退任前日に恩赦を与えたのです。

hrc_20150611_Moses_02.jpg日本支部に集まった署名

刑務所から出てきたモーゼスさんは、歓喜の声をあげ、次のように語りました。

「勝利を導いてくれたアムネスティやその活動家の支援に感謝したい。みなさんは、僕にとってヒーローです。みなさんの努力を無駄にはしない。これからは、人権活動家として、人のために生きていきます」

みなさんお一人ひとりの行動が大きなパワーとなり、一人の青年を救ったのです。アクションに参加してくれたみなさん、ありがとうございました!

ナイジェリアで横行する拷問の実態

「こんなに恐ろしい目に遭うなんて…。自分がいま生きていることが信じられない。」

これは、モーゼスさんが拷問のことを振り返ったときの言葉です。ナイジェリアでは治安当局による拷問が数多く報告されています。2007年、国連は当局の「拘禁施設全般にわたって、とりわけ取調べの最中に、組織的に拷問と虐待が行われている」と述べ、懸念を表しています。実際に、ナイジェリアの主要な警察署には、「拷問部屋」が設置され、「拷問執行者」がいるほどに、問題は深刻です。裁判所も、国内法や国際法に反して、拷問によって得られた証拠を採用します。この実情は変わるどころか、悪化しています。

拷問は決して許されないことです。違法であり、非人道的で野蛮な行為です。モーゼスさんのような被害者をこれ以上ださないためにも、アムネスティは今後も活動していきます。

「拷問なんて、いらない!」キャンペーンに、今すぐ参加を!

モーゼスさんのためにデモに参加するイギリスの学生たちモーゼスさんのためにデモに参加するイギリスの学生たち

2014年、世界各地の拷問をなくすために、アムネスティは「拷問なんて、いらない!」キャンペーンを国際的に開始しました。

日本支部では、特にメキシコ、ナイジェリア、フィリピンのケースに取り組んでいます。拘禁下で起こる拷問に焦点を当て、拷問を防止する制度や枠組みを作ることを目指しています。

イベント、オンラインアクションに参加したり、アクションキットを使って活動を広めるなど、あなたにできることがたくさんあります。ぜひ、このキャンペーンにご参加ください。

アクション期間 2014年5月13日~9月15日
署名提出先 ナイジェリア デルタ州知事

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