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【書評連載05】ハーフ・ザ・スカイ-彼女たちが世界の希望に変わるまで

ハーフ・ザ・スカイ -彼女たちが世界の希望に変わるまで ニコラス・D・クリストフ、 シェリル・ウーダン著、北村陽子訳/英治出版/ISBN:978-4-86276-086-9ニコラス・D・クリストフ、 シェリル・ウーダン著、北村陽子訳/英治出版/ISBN:978-4-86276-086-9/(C)英治出版

これは本当にノンフィクション? あまりにも非現実的な世界が描かれていて、最初そう思った。もしかしたら、その現実を受け入れたくなくてそう思ったのかもしれない。生まれた国が違うだけで、こんなにも運命が変わる。

本書は、逆境を乗り越え、絶望的な状況から立ち上がった女性たちの物語である。著者であるジャーナリスト夫妻は、ある日自分たちにとっての「ジャーナリズム」とは一体何なのか、考え始める。それをきっかけに、無法地帯とも言える売春街や、女性の地位が著しく低く見られている場所などを訪れ、日常に繰り返されている問題を追いかけるようになる。

カンボジアでは多くの女性が、売春婦として人身売買の犠牲となっている。シェレイ・ラースもその一人だった。彼女は、15歳の時に家族を助けるため親元を離れるが、売春宿で働かされる。2ヵ所の売春宿を逃げだした後、ようやく自由になった彼女は、NGOの援助で屋台ビジネスを始めた。ビジネスは成功し、今では彼女の収入が弟や息子の教育を支えている。ジンバブエの女性は母になってから奨学金で学校に通い始め、アメリカの大学でAIDS問題の研究で博士号を取得した。同じ女性として誇らしく思うと当時に、彼女たちのたくましさに、逆に励まされる。

一方で、まだ暗闇の中にいる女性たちもたくさんいる。奴隷同然のように働かされる売春婦。逃げれば命はない。子どもが生まれれば、その子も売春宿のもの。「女性」であるだけで、学校にも行けず、病気になっても病院には連れていってもらえない。まだ子どもであろうと妻となるため売られる女性や、処罰として強姦される女性もいる。いまだにこのような窮状から抜け出せない女性の方が、圧倒的に多い。

これが現実だと思いながら読んでいくと、暗くなる。だが、本の中の女性たちは不可能なものはないと語りかてくる。経済発展のネオンライトが眩しすぎて、見えなくなった社会の暗闇。そして、暗闇の中の光。

(執筆:アムネスティ書評委員会 K.G)

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ハーフ・ザ・スカイ― 彼女たちが世界の希望に変わるまで

 

【書評連載04】三重苦楽

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