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アクション参加者へのシェル社の返事

シェル社が、アクションの参加者に送った手紙の全文(邦訳)
(翻訳・アムネスティ・インターナショナル日本)

ナイジェリアについてのお手紙をありがとうございました。あなたにお返事申し上げるよう、ピーター・ヴォーザー(訳者注:シェル最高経営責任者)から私に指示がありました。私はナイジャーデルタの地域コミュニティの出身です。私は、自分の人生のほとんどをそこで過ごしました。私は、現在、オランダの シェル社に勤務しておりますが、私がシェルの従業員として生活の大半を過ごしたのはリヴァーズ州ポート・ハートコートです。私の仕事は、地域住民や政府と 話し合うことでした。合弁企業である「シェル油田開発事業」(SPDC)による石油・天然ガス採掘地域の近辺に住む住民、そしてひいてはナイジェリア全体 に利益をもたらす最善の方法を模索してきました。私はシェルのために働いていることを誇りに思っております。

ナイジャーデルタ地域に住む人びとの生活を向上させようとする試みには多くの問題があります。問題がないようなふりをすることは間違って います。こうした多くの問題に対処するには、すべての関係者が一緒に行動する必要があります。そして、SPDCは、この状況を変えようと、政府や市民団体 を支援しています。

そのようなことから、私たちはアムネスティ・インターナショナルが発表した報告書には、大変失望いたしました。私たちは、多大な時間と労 力を費やし、アムネスティの調査団と話し合い、状況説明や多くの具体的な質問に回答しました。しかし、残念なことに、ナイジャーデルタでの事業の実情や、 ナイジャーデルタでの人道問題の要因となる貧困、汚職、犯罪、攻撃性や暴力などについてうまく説明することができなかったようです。そこで、とりあえず SPDC のムティウ・サンモヌ(Mutiu Sunmonu)部長が10月にアムネスティのロンドン事務局に調査団を訪ね、話し合いを続けました。

もちろん、私たちは原油流出がもたらす環境や地域コミュニティへの影響を懸念しています。悲しいことですが、ナイジャーデルタでの汚染の ほとんどは、妨害破壊行為によるものです。ほとんどの場合が、パイプラインに不法に栓を取り付け、大量の原油を盗もうとする重武装ギャングの仕業です。 ギャングたちが原油を流出させ、そのために広範囲にわたって環境被害がもたらされます。そして、被害を受けた地域コミュニティの生活に影響を及ぼします。 そして、私たちはその後始末をしなければなりません。流出を直ちに止めるようとして原油流出対応チームを送ろうとしても、この地域がギャングたちによって 支配されているため、時としてそれは危険であり、不可能なこともあります。武装集団の中には、パイプラインや石油施設を爆破することで、石油生産を停止さ せナイジャーデルタに目を向けさせようとしています。昨年、パイプラインの爆破攻撃だけで10件発生し、4万バレルの油が流出しました。これは、その年の 原油流出総量の70パーセント以上を占めます。それも含めた原油流出総量の85パーセントは、妨害破壊行為や犯罪行為によるものです。アムネスティや他の 団体がこの数字に疑問を持っていることは承知していますが、事実はそうであり、私たちはこの情報を公開しています。実際、SPDC は、ナイジャーデルタ地域で操業している企業の中で唯一、原油流出の回数およびその流出量、また過去に被害を受けた地域の汚染除去作業の進展など、広範囲 に及ぶデータを定期的に公表している企業です。

原因が何であれ、SPDC は原油漏れを全てできるだけ早く食い止め、全ての流出場所の汚染を除去するという責任を果たしています。原油漏れや除去作業への評価は、常にその地域コ ミュニティや政府当局と連携して行われ、できるだけ地元企業に請負ってもらうようにしています。

アムネスティからのもう一つの批判は、環境影響評価(EIA)など、当社の活動が及ぼす環境および社会への影響についての公表が十分にな されていない、とアムネスティが考えているというものです。しかし、事実は次の通りです。あらゆる新規大型プロジェクトに関する環境影響評価は、地域コ ミュニティを含むさまざまな利害関係者との協議を踏まえ、すでに協議への参加者に公開されており、さらなる協議のため、その写しを地方の役所や州政府およ び連邦政府の環境省で入手可能にしています。地域コミュニティであれ、議員であれ、地域NGO、あるいは国際NGOであれ、関心のある人であれば誰でも、 環境省に対して、意見や懸念を送ることが可能です。そして、すべての利害関係者に公開された再検討手続きの中で、それらを取り上げてもらうことができま す。2000年から2008年の間に完了し監督機関からの認証を得たSPDC社環境影響評価は計148件に上り、すべて新規プロジェクトについてのもので した。そのうちの過半数以上が、新規大型プロジェクトです。

最後に、シェルが社会的影響に対して適切な措置をとらなかったという主張について、私は同意いたしません。私どもSPDCは、当社の活動 が与える社会的影響を考慮し、地域コミュニティがそこからの恵みを享受できる道を探っています。どこの国でもそうですが、自国の国民の発展について主たる 責任を持つのは政府です。当社は、その政府の活動を支援しています。昨年、シェルが操業する事業からナイジャーデルタ開発委員会への支援は1億5800万 ドルを上回りました。さらに8400万ドルを、地域コミュニティの開発プロジェクトに直接拠出しました。この額は、単一の投資案件としては、世界中にある シェル社の中で最大のものです。この拠出金は、教育、保健衛生、キャパシティ・ビルディング(能力開発)事業、水道や道路などのインフラ整備に活用されて います。例を挙げれば、ニューヨークで国際賞を最近受賞したNGO、ファミリー・ヘルス・インターナショナルとの協力の下で行っているエイズ・プログラム もこれにもとづく事業の一つです。

SPDC活動についての詳しい情報は、下記のサイトをご覧ください。
http://www.shell.com/home/content/nigeria/news_and_library/publications/dir_briefing_notes.html

ナイジャーデルタには問題が数多くあり、その関係は複雑です。私どもは、これら諸問題の解決のために支援できる方であればどなたとでも、ともに解決に取り組んでいく所存です。私はそれができると信じています。ナイジェリアは私の母国なのですから。

International Relations Manager – Nigeria
ナイジェリア 国際関係マネージャー

Shell International Exploration and Production B.V.
The Hague, The Netherlands - Trade Register no. 002688
Correspondence: PO Box 60, 2280 AB Rijswijk The Hague - NL


このシェル社の返事に対する、アムネスティの回答

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